刑事事件の弁護士は、依頼人である容疑者や被告人のそばに立ち、その権利を擁護する役割を持っています。ここで、しばしば、「なぜ悪い人を弁護するのか」という素朴な疑問が聞かれることがあります。
しかし、まず、その人が悪いことをしたかどうかを決めるのが刑事手続であり、刑事裁判です。「無罪の推定」という言葉があります。刑事裁判で有罪が確定するまでは、何人たりとも、無罪であると推定されるという原則です。犯罪を証明する責任は検察官が追っています。誰一人として無実の人が有罪の責任を負うことがないよう、検察官と徹底的に戦うことが、弁護士の役割の一つです。
もちろん、実際に事件を起こしてしまった人も裁判を受けます。その場合の弁護人の役割は何でしょうか。私たちの経験上、ほぼすべての事件で、罪を犯した人にもそれなりの理由があります。どんな理由があれ犯罪は許されないことですが、依頼人の事情をきちんと裁判官にわかってもらい、依頼人にとって適切な刑を言い渡してもらうよう活動するのが、弁護人の役割の一つです。
無罪を主張する事件であっても、そうではない事件であっても、弁護人は依頼人のためにいます。どんな事件であっても、検察官の一方的な視点のみで正しい裁判が行われることはありません。そこに弁護人がいて、検察官と戦ってこそ、裁判官が適切な裁判を下すことができるのです。
刑事事件の弁護士は、依頼人の権利を最大限に擁護することをその役割としています。全体としてみれば、それは適正な裁判を制度的に裏付けているともいえます。刑事事件の弁護士の役割は、その意味で、非常に重要なのです。
私たちは、刑事事件における弁護士としての役割の重要性を自覚し、自信をもってその役割を果たせるよう、全力で弁護活動に取り組みます。