事件が起きると警察が捜査をします。聞き込みをしたり,関係者を取り調べたり,現場から資料(遺留物,血痕,指紋,DNAなど)を押収したりします。
検察官も逮捕した被疑者や被害者,目撃者などから事情聴取し,供述調書というものを作成します。
このようにして捜査機関が集めた証拠はいつどのようにして見られるのでしょうか?
まず,起訴されるまでの捜査の段階では,基本的に被疑者も弁護人も見ることができません。従って,捜査段階ではどのような証拠を警察が集めているか分からない中で,方針を選択していかなければなりません。
検察官が捜査をした上で起訴すると,裁判所で審理が行われることになりますが,このときも捜査機関が集めた証拠が自動的に全て開示されるわけではありません。
証拠の中から検察官が有罪立証に必要だと思う証拠のみ,まず弁護人に開示されます。
ここで大事なポイントは,
① 開示するといっても本人が見るには「謄写」といって検察庁にコピーの請求をしなければなりません
② 検察官の手元には,開示されていない証拠が残っているので,弁護人は証拠開示といって,他の証拠も開示してくれと請求する手続をとる必要があります
私選弁護事件であれば謄写費用は被告人の負担です。国選事件であれば基本的に国費で謄写費用も支払われますので,国選弁護でも,弁護人に謄写を依頼し,さらに自分にもコピーして見せてくれ(差し入れてくれ)と頼みましょう。
また,検察官が必要だと思う証拠以外にも,このような証拠があるはずだ,自分の無実を明らかにする証拠があるはずだと思われる場合には,弁護人に証拠開示の手続を取るように依頼しましょう。
刑事裁判において証拠の開示は勝つために極めて重要な活動です。証拠の開示が有罪,無罪を分けることも珍しくありません。