刑事裁判において,自白が自己に不利な唯一の証拠である場合には,有罪とされないとされています(刑事訴訟法319条2項)。
自白の補強法則といわれるルールです。
自白は犯罪事実について自分の刑事責任を認める供述です。
自白の補強法則は,こうした自白が証拠として重視されるあまり,取調べで自白が強要され,裁判で無実の罪で間違って有罪とされないようにするためのルールといえます。
しかし,自白の補強法則は,犯罪事実のすべてに自白以外の証拠が必要とされているものではありません。
また,故意や過失といった犯罪事実の主観面については,自白のみで足りると解されています。
特に,刑事裁判において故意や過失が認められるかどうかは法的な判断によるもので,法律になじみのない一般人にとっては判断が困難な内容です。
自白の補強法則があっても,取調べにおいて,なお故意や過失にかかわる事情について自白が強要され,間違って有罪とされる危険があるといえます。
取調べに対してどのように対応すべきかは,弁護士の適切な助言を受けて対応することが重要です。