刑事手続において捜査や刑事裁判を受け,勾留という身体拘束を受けているのに対して,勾留理由開示の手続を請求することができます。
この勾留理由開示手続は,憲法の規定に基づく手続で,公開の法廷で勾留の理由を明らかにさせる手続です。
勾留理由開示手続は,勾留されている被疑者・被告人やその弁護人側から請求して行われるもので,請求がなければ行われません。
また,一つの勾留に対して1回行われるのみで,請求して何度も手続が行われるものでもありません。
請求があってから原則として5日以内に勾留理由開示の期日を開かなければならないとされています。
期日には,被疑者,被告人本人と弁護人が出席します。検察官の出席は不要ですが,検察官も出席して意見を述べることは認められていて,その可能性はあります。
期日において,裁判官から,勾留の理由が告げられますが,勾留の要件を満たすことを一般的,抽象的に告げられるにとどまり,具体的にどのような証拠等があって勾留を認めたかなどまでは明らかにされないのが通常です。
弁護人において,適切に釈明を求めて,できる限り勾留の理由が具体的に明らかにさせるようする活動が求められるといえます。
期日において,被疑者・被告人本人,弁護人に意見陳述の機会が与えられます。
時間はそれぞれ10分以内と規定されていますが,意見を補うために書面を提出することも可能です。
意見陳述した内容は,裁判所の調書に記録されます。
被疑者・被告人本人の意見内容は,本人が裁判官の前で自発的に述べた内容といえるので,後からその意見内容の信用性を争うことは困難だといえます。
勾留理由開示手続自体を実際に請求するか,請求するとしてどの時期に行うか,期日においてどのような意見を述べるかは,十分に打ち合わせて慎重に判断することが重要だといえます。