第一審の刑が不満で控訴した場合,弁護人は,第一審の刑が重すぎることを主張して,刑を軽くするための弁護活動を行います。先日,当事務所の担当した事件で,第一審の懲役5年の刑が,懲役2年10ヶ月の刑に変更された事例をご紹介します。
事案は準強姦でした。薬物等を使って抗拒不能にさせた上,女性を姦淫したとの事案でした。依頼人は,罪を認めていました。しかし,第一審では,検察官の求刑懲役5年に対し,求刑どおり,懲役5年の判決が宣告されていました。
当事務所の弁護士が,控訴審から弁護を担当しました。まず,第一審の判決の量刑判断が不合理で,あまりにも重すぎるということを,検察官の求刑との関係や,同種事件の量刑相場などを用いながら論証しました。
さらに,第一審では被害者に対して損害賠償をしていたにとどまっていましたが,控訴審においてさらに被害者と示談をし,その結果を裁判所に提出しました。
また,第一審では,事件に対する反省が不十分であると評価されていました。そこで,依頼人と密に打ち合わせをし,事件に関する認識を深めるとともに,カウンセリング等も利用しながら,自分の起こした事件についての認識が深まったことを裁判所に伝えるよう務めました。
判決は,2年10ヶ月の実刑でした。控訴審では,第一審の判決の量刑は重すぎるきらいがあると評価されました。その上で,事件後の示談などの事情に鑑みて,相当期間の減刑をしました。
本当であれば,執行猶予判決まで獲得したかったところですが,裁判所は,事件の内容の悪質さから見て,実刑の選択は免れないと判断しました。ただ,控訴審での量刑判断としては,かなり大きく刑が減った部類だということはできると思います。