愛媛県警が,窃盗容疑で女子学生を誤認逮捕し,その取調べで自白を強要したということが問題になっています。
このようなことが報道に表れることは珍しいことかもしれませんが,実際の現場では決して珍しいことではありません。
犯罪が起きると警察が捜査をし,逮捕令状を裁判所に請求し,許可され発付されると逮捕状を執行し逮捕します。そして取調べを行います。
無論警察官も,犯人でない人を逮捕しようとは考えていませんが,あくまで人が判断することですから間違う事もあります。
裁判所は逮捕状の請求をチェックする役割ですが,逮捕状が却下されることはほぼなく,請求すれば発付されるというのが実情です。
そして,何より裁判員対象事件や特捜事件を除き,取調べの録画録音が制度化されていません。取調べの録画録音対象事件は全事件の数%にすぎません。
録画録音のない取調べは,取調官である警察官が,密室で被疑者を自白させようとすることに他なりません。
本当に犯人かどうかフラットな姿勢で言い分を確認するというものではありません。
逮捕しているくらいですから,警察官は犯人だと思い込んでおり,逮捕した目の前の被疑者を自白させようと取調べを行う事になり,録画録音がされていないと,違法不当な威圧的な取調べになってしまうのです。
このような違法な取調べを無くすためには,全事件で取調べを録画録音すること,取調べに弁護人が立ち会えるようにすることが,何より必要でしょう。