刑事手続の中で,加害者が被害者に被害を弁償したり,示談を交わすことがあります。
たとえば窃盗罪や詐欺罪などの財産犯において,被害額そのものを弁済したり,傷害罪などでも,怪我の治療費や慰謝料などを支払うことで示談を交わすということがあります。
被害を弁償したり示談を交わした場合,刑事手続ではどのように取り扱われるでしょうか。
これは大きく分けて起訴される前の捜査段階と公判段階で変わってきます。
起訴される前に示談が成立し,被害者が処罰を望まないという意思表示をした場合などは,起訴されず起訴猶予処分となる(刑事裁判とならない)ことがあります。
これは,被害の内容やこれまでの犯罪歴などによります。
重い犯罪などでは,示談が成立しても起訴されるケースもあります。
他方,起訴されたあとに被害弁償をしたり示談が成立したとしても,起訴自体が取り消されるわけではありません。
被害を弁償したことは,刑を決める際に考慮されることにはなりますが,あくまで処罰自体は受けることになります。
このことは,起訴される前に示談が成立していれば起訴されず前科がつくことはなかったのに,起訴されてしまったために示談が成立しても処罰は受ける(刑は軽くなりますが )ということを意味します。
従って,犯罪を犯してしまったことが間違いなく,被害者に弁償し示談をしたいという場合には,できる限り起訴される前に行うことが重要となります。
逮捕されたり,捜査を受けている方で被害弁償をしたいという方は、少しでも早く弁護士を付けることをお勧めします。