逮捕された人が起訴されるまでの間に国選弁護人を選任することが出来る制度を被疑者国選といいます。
(これに対して起訴されたあとは被告人という立場になりますので,被告人国選といいます)。
正確には,逮捕直後には国選弁護人を付けることはできず,逮捕後2,3日以内に勾留決定がなされてから,国選弁護人を裁判所に請求して選任することができます。
もともとは,被疑者国選という制度はなく,全て国選は起訴後からしか付けられませんでした。
しかし捜査段階で警察や検察官の違法不当な取調べによって虚偽自白が生み出されてきたことから,捜査段階でも国選弁護人を付けなければならないとして制度化されたのです。
開始当初は一部の重大犯罪に限られていましたが,段階的に拡大し,本年の6月1日より,全勾留事件が対象となりました。
弁護人の援助や助言なく,逮捕され取調べを受けるということはとても危険なことです。
国選弁護人はいかなる人でも請求することが可能ですので,私選弁護人を雇うことが出来ない場合でも,必ず請求して選任してください。
最初に述べたように,逮捕から勾留決定までは国選制度はありませんが,各地の弁護士会には当番弁護士制度があり,逮捕された人が1回だけは無料で弁護士を呼ぶことが出来ます。そしてその当番弁護士がそのまま勾留後に国選弁護人に選任してもらうことも可能です。
今後の課題は,逮捕段階における国選弁護制度にあります。
虚偽自白によるえん罪を防ぐためには,逮捕直後から弁護人の援助を受ける必要があるのです。