裁判員裁判は,一定の重大事件について市民が参加して行われる裁判です。
起訴する検察官や裁判を受ける被告人に選択権はなく,対象犯罪として起訴されれば全て裁判員裁判として審理されます。
裁判員裁判を定める法律では,例外的に対象事件から除外できる場合を定めています。
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第3条
地方裁判所は、前条第一項各号に掲げる事件について、被告人の言動、被告人がその構成員である団体の主張若しくは当該団体の他の構成員の言動又は現に裁判員候補者若しくは裁判員に対する加害若しくはその告知が行われたことその他の事情により、裁判員候補者、裁判員若しくは裁判員であった者若しくはその親族若しくはこれに準ずる者の生命、身体若しくは財産に危害が加えられるおそれ又はこれらの者の生活の平穏が著しく侵害されるおそれがあり、そのため裁判員候補者又は裁判員が畏怖し、裁判員候補者の出頭を確保することが困難な状況にあり又は裁判員の職務の遂行ができずこれに代わる裁判員の選任も困難であると認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、これを裁判官の合議体で取り扱う決定をしなければならない。
ただし,条文自体が長く難解なように,かなり厳格な要件を定めており,単に被告人が暴力団員であるとか,被告人が危険人物であるなどという理由では除外は認められません。
簡単に除外を認めてしまえば,裁判を市民と共同して行うという法の趣旨が失われてしまうからです。
過去には,暴力団事件などで検察官が請求して認められたケース,認められなかったケースがあります。