起訴された裁判員裁判対象事件は,公判廷での審理を行う前に,必ず公判前整理手続(こうはんぜんせいりてつづき)が行われます。
公判前整理手続は,検察官,弁護人ら当事者の主張と証拠を整理する手続です。
裁判員裁判は,一般市民から選ばれた裁判員6名が裁判官とともに,公判廷での審理にのぞみ有罪無罪や有罪の場合の刑の重さを決めることになります。
このため,何が争いとなり,公判廷における証拠の取調べや証人の証人尋問などにどのくらいの時間が必要かなど,審理計画を立てることを目的として行われます。
公判前整理手続では,弁護人は,検察官に対して,検察官が証拠調べ請求をする以外の証拠についても,証拠開示させることができます。
しかし,自動的に様々な証拠が開示されるものではありません。弁護人が,適切に証拠開示を請求しなければ,十分な証拠開示がなされないままになってしまいます。
また,公判前整理手続が終了した後は,原則として新たに証拠調べを請求することが認められなくなります。
公判前整理手続において,十分な証拠開示を行って検察官から証拠を入手するとともに,弁護人独自でも証拠を集めることが求められます。
そして,事前に公判での審理を想定し,どのような主張をし,どのような立証をするのか,公判廷での審理が始まる前に準備を完了させる必要があります。