検察官が訴因変更を請求した,などという報道を時折見ることがあります。
たとえば傷害罪を傷害致死罪に訴因変更する,自動車運転過失致死から危険運転致死罪へ訴因変更する,というような場合です。
訴因とは,検察官が起訴した犯罪事実(これを公訴事実ということがあります)のことです。
なので当初起訴した犯罪事実から別の犯罪事実に変更することを訴因変更と言います(罪名が変わる場合もあれば,変わらずに事実が付加・修正されることもあります)。
検察官は起訴するとき,起訴状という書面を裁判所に提出します。
刑事裁判では,この起訴状に書かれた犯罪事実を被告人が犯したのかどうか,犯したとしてその罪の重さ(量刑)はどうするかを審理する場です。
従って,起訴されてない犯罪事実を勝手に裁判所が判決することはできないルールになっています。
どのような犯罪で起訴されたかを明示することが,起訴された人(被告人)にとってとても大事なことだからです。起訴されてない犯罪事実を勝手に判決することは不意打ちとなり手続保障が図られないのです。
しかし,起訴したあと捜査を継続したら新たな事実が判明した場合など,もともとの起訴した事実を変更する必要が生じる場合もあります。このようなときに検察官は裁判所に対して訴因変更の請求をすることになるのです。
特により重大な犯罪事実に変更された場合などは弁護活動に注意を要します。弁護人は起訴された時点で将来訴因変更の可能性があるかどうかも見据えながら活動をしていかなければなりません。
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