先日、当事務所の弁護士が受任した詐欺事件で、不起訴処分となった事例を紹介します。
事件は、知人を巧みな嘘でだましてお金を借り入れさせ、そのお金の交付を受けたという事案でした。
依頼人は、逮捕されることなく任意での捜査を受けておりましたが、当事務所にご相談にいらっしゃり、当事務所の弁護士が事件を受任することとなりました。
依頼人は、お金は借りただけだという主張をし、詐欺の成立を否認していました。
とはいえ、お金を返していないことは事実だったので、被害者とされる人物に対して弁護士を通じてお金を返すという選択をしました。弁護人において被害者とされる人物と交渉し、示談をまとめました。
結局、この詐欺事件は、のちに不起訴となりました。
事実関係を否認する場合でも、民事上一定の責任が生じると考えられる場合などは、被害者とされる人物への損害賠償、示談交渉が有効な場合があります。自分が犯人ではないと主張する場合などは示談交渉をするのは変ですが、この事件のように、依頼人が被害者に一定の損害を与えている場合には、損害賠償や示談の活動が有利に働く場合もあるのです。
関与してしまった事件で損害賠償や示談をすべきかどうかは、事件の内容、関与の仕方、損害の有無など、ひとつひとつの事件により全く異なってきますが、そういった活動も視野に入れて、多角的に弁護活動の方針を決めるべきです。