刑事裁判における判決において,金○○円を追徴する,というような言い渡しがなされることがあります。
追徴とは,犯罪によって犯人が利益を得ていた場合に,これを金銭で没収することを意味します。
刑法では,懲役○年などの判決の主文において,罰金,没収を定めています。
(没収は,違法薬物などの法禁物,凶器等がなされることがよくあります)
刑法第19条1項
次に掲げる物は、没収することができる。
1 犯罪行為を組成した物
2 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
3 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
4 前号に掲げる物の対価として得た物
そして,没収する物そのものがない場合には追徴することができると定められています。
刑法第19条の2
前条第1項第3号又は第4号に掲げる物の全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。
従って,犯罪によって何らかの利益を得る犯罪では,懲役などの他に追徴の言い渡しもなされることがあります。
なお罰金との違いは,罰金は,仮に支払えないときに,一定の金額(1日5000円)の換算で,労役場留置が定められますが,追徴の場合は支払えなくても労役場留置の処分は課されません。