今年、ある刑務所から受刑者が逃げたという事件がありましたが、今度は勾留中の被疑者の方が逃げたという事件が報道されています。
両方とも、「逃げる」という行為ですが、適用される罪は違います。
前者は、報道をベースにすれば逃走に際し、器具等を壊したり、暴力をふるう等をしたりということはなかったようです。
そうすると、前者は「単純逃走罪」、後者は、「加重逃走罪」が適用される場面ということになります。
「単純逃走罪」は「裁判の執行により拘禁された既決または未決の者」が対象とされています。
「既決の者」とは、確定した判決によって拘禁されている人のことです。逮捕によって拘束された被疑者は含まれません。
この単純逃走罪の法定刑は1年以下の懲役です。
「加重逃走罪」は上記の単純逃走罪の対象者のほか、「勾引状の執行を受けた者」も対象です。
たとえば、逮捕状で逮捕された者も含まれることになります。
この加重逃走罪の法定刑は、3月以上5年以下の懲役です。
上記の単純逃走罪より重い罪です。
①拘禁場または拘禁のための器具を損壊し,逃走
②暴行・脅迫を行い逃走
③二人以上の通謀を行い逃走
のいずれかの行為を行うことが要件とされています。
単純逃走罪にせよ加重逃走罪にせよ、刑が軽いと思われるかもしれません。
しかし、実際には逃走中、何かを盗んだり、無断で建物に立ち入ったり等の行為が付随する可能性が高く、窃盗罪や建造物侵入罪等も成立するということもあるでしょう。
結局、このように、逃げると罪が重くなっていくことにはなりますが、そこまでして逃げるという行動をとるだけの理由があるのかもしれません。
東京ディフェンダー法律事務所では、疑われている犯罪事実を争わない場合にも、「なぜ依頼者が事件を起こしてしまったのか」と真摯に向き合い、依頼者を守るために力を尽くします。