裁判員裁判でない通常の刑事裁判は,起訴がなされてから1,2か月ほどで第1回公判が行われるのが通常です。
第1回公判では,起訴状が読み上げられ,裁判官から被告人,弁護人に対してそれぞれ,起訴状の内容に間違いがあるか意見を聞かれます。
その後,検察官が証拠によって証明しようとする事実について述べる冒頭陳述を行い,証拠の取調べを請求します。
これに対して,弁護側は,書証について同意するのか,証拠物について異議がないかといった意見を求められます。
このように第1回公判において起訴状や証拠についての意見を述べるため,公判前のの準備として,検察官が証拠の取調べを請求する証拠について開示を受けて,その内容を検討する必要があります。
また,検察官が証拠の取調べを請求する証拠以外の証拠についても,証拠の開示を受けて検討することが重要です。
起訴状の内容自体に争いはないとしても,犯行に至る経緯,具体的な犯行状況,犯行後の状況など,刑の重さに関わる事情について争いがあったり,有利な事情があることも考えられます。
起訴状の内容に争いがなく,弁護人の証拠意見に対して検察官も証人尋問請求をしない場合,第1回公判で証拠調べを終えて審理を終え,次回公判で判決言い渡しとなることが見込まれます。
この場合,第1回公判で,弁護側の証拠の取調べや被告人質問が行われ,検察官の論告と弁護人の弁論を行って刑の重さについての意見を述べることになります。
弁護側が請求する証拠については,事前に検察官に開示する必要があります。
このため,第1回公判で結審することが見込まれる場合は,第1回公判前までに弁護側の証拠を準備し,被告人や家族等の情状証人などについて,公判で供述する内容についての準備をしておく必要があります。