現在の日本の刑事手続では,逮捕されてすぐに国選弁護人が付くわけではありません。
逮捕された後,さらに10日間の勾留という身体拘束を受けることが決まった後でないと国選弁護人が付けられないということになっています。
逮捕されてから10日間の勾留が決まるまで2~4日間かかります。
その間にも逮捕された方に対しては,逮捕された直後から取調べなどの捜査が行われます。
まず,警察官から逮捕された犯罪事実に対する弁解の他に,経緯や犯行状況,犯行後のことなどの取調べを受けます。
取調べを受けた内容は,供述調書という書類にまとめられて署名指印を求められます。
その他にも,経歴,生活状況,家族関係,前科前歴の有無や内容などについても取調べが行われ,供述調書が作成されます。
次に,検察庁に行って検察官からも取調べを受けます。検察官からも,犯罪事実に対する弁解の他に,経緯や犯行状況,犯行後のことなどの取調べを受けて供述調書が作成されます。
さらに,裁判所に行き裁判官からも犯罪事実について間違いがないかなどの言い分を質問され,答えた内容が調書にまとめられて署名押印を求められます。
こうして国選弁護人が付くことができるまでの間に,取調べを受けて供述調書などの証拠が作成されることになります。
そして一度作成された供述調書は原則として証拠となって,その証拠能力や内容の信用性を争うことは困難です。
逮捕された場合,国選弁護人がつく前の逮捕直後から弁護士よりこうした取調べに対する対応について,適切な助言を受けることが重要です。