刑事事件を犯したとして疑われて被疑者として逮捕されると,警察官や検察官の取調べを受けることになります。
刑事事件において,被疑者に対しては,よく黙秘権が保障されていると言われます。
警察官,検察官も,取調べに際しては被疑者に対して,自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げることになっています。
しかし,黙秘権が保障されている,黙秘権を行使すると言っても,警察官や検察官が取調べ自体を中止するものでは全くありません。
被疑者が黙秘すると言っても取調べ自体は続け,むしろ黙秘をさせずに供述をさせようとするものです。
警察官や検察官は,取調べにおいて被疑者から供述を引き出し,その供述内容を供述調書として刑事裁判の証拠にするのが仕事と言えます。
無実を主張しても,警察官・検察官は,犯罪を行ったことを疑って取調べを行います。
そして,刑事裁判において,自分が署名押印して作成したの供述調書は,原則として裁判の証拠となります。
一度,供述調書を作成して証拠となってしまえば,その内容が自分の記憶や認識と異なる内容であったとしても,その内容を刑事裁判で争うことは困難です。
間違って処罰されないためには,黙秘権が保障されているから大丈夫というのではなく,自分自身が適切に黙秘権を行使し,警察官・検察官の取調べに対応しなければならないものといえます。
また,黙秘権を行使し,取調べに対応するためにも,弁護士による適切な助言が重要であると言えます。