犯罪が疑われると,警察官や検察官は,被疑者,被害者,共犯者,目撃者など事件に関係する人達から事情を聞きます。
捜査機関が,取調べや事情聴取をしたとき,そこで話したことが,供述調書という書面にまとめられることがあります。
供述調書を作成するときには,供述者に間違いがないかどうか確認して,署名と押印(捺印)をさせるのが通常です。
起訴されると,供述調書が弁護人に開示され、弁護人はそれぞれ関係者が捜査機関にどのように供述したかを知る事が出来ます。
その後の刑事裁判で,その人に対する証人尋問や被告人質問が行われたとき,その供述調書の記載と異なる証言をすることがあります。
そのとき,検察官や弁護人は,過去に~と言っていたのではないですか,と過去の供述調書について質問することがあります。
人は記憶違いをすることや,時の経過で思い出したり忘れたり,あるいは他から情報を得ることで記憶が変容してしまうことがあります。
法廷で証言した事が真に体験したことなのか,記憶違いなのかを判断することはとても難しいことです。
その1つの材料として,過去の供述も検討する必要があります。
記憶が変わるような事柄なのか,変わった理由が納得行くものなのかを慎重に判断しなければなりません。