裁判所が刑を言い渡す際には,同じような事案について過去に言い渡された刑の重さを参考にします。典型的な事件であれば,大体これぐらいの長さの刑が言い渡されるだろうという予想ができます。これを量刑相場といいます。もっとも,あくまで感覚に基づく予想ですので,その正確性が担保されているわけでもありませんし,そのまま弁論などで主張することも困難です。
裁判員裁判対象事件では量刑グラフというものがあります。過去に同一罪名について言い渡された刑についてデータを集積し,これをまとめた統計データです。弁護人であれば自由に閲覧することができ,検索条件を入力すれば,その事案で言い渡される可能性のある刑の幅が,それなりに具体的に予想できます。
この量刑グラフは,現時点では裁判員裁判対象事件についてしか存在しません。公判が始まる前,捜査段階でも見ることができます。起訴される前であっても,弁護人にこのグラフを見せてもらえれば,仮に有罪になった場合にどれくらいの期間刑務所に入る可能性があるのか,あらかじめ予測ができます。