刑事事件を起こしてしまった方が障害をかかえていることがあります。あるいは、刑事事件の裁判を受ける中で、心身に障害があることが判明するケースもあります。
もちろん、障害があるから事件を起こしやすいなどということではありませんが、障害を抱え、それが受け入れられない結果、社会で生きていくことに困難が伴い、そのことが事件の遠因になっていると感じられるケースは、少なくありません。
刑事事件において、障害はどのように考慮されるべきでしょうか。そして、弁護を担う弁護士はどのような活動をすべきでしょうか。
まずは、その障害の特質と、それが事件にどのように影響したのかを分析することです。障害が事件に影響していないのに、「障害があるから寛大に処分してくれ」といっても、まったく意味はありません。医学の文献なども参考にしながら、障害の特質と、事件との関係、事件への影響を分析しなければいけません。
分析によって事件への影響があると判断した場合、それを適切に主張しなければなりません。
まず、精神の障害によって犯行を起こした場合、刑事責任をとる能力がないとして無罪を主張することが考えられます。この主張が可能かどうかは極めて慎重な判断が要求され、専門的知識を持つ弁護士と精神科医などとの連携が必要になります。
刑事責任をとる能力がないとはいえない場合であっても、刑の重さなどの裁判結果に影響する場合があります。刑事事件での処分や刑を決める際には、犯行についてどれだけ本人を責めることができるかという点が重要なポイントになります。障害の影響によって、犯行について本人を責めることができない部分があるならば、それを適切に主張することによって、本人の障害を考慮した適切な量刑を得ることが可能になります。
さらに、事件になってしまった場合でも、本人が障害を持っていることを踏まえた今後の支援計画などを考え、それを検察官や裁判官に伝えることで、そのことを考慮してもらえる可能性があります。
特に、軽い部類の犯罪であれば、家族、社会福祉士や医療機関、その他受け入れ先の協力を得て、本人が二度と事件を起こさないような環境を整えることが処分に当たって評価されます。ですから、こういった周辺環境を整えることも、弁護士の重要な役割の一つです。
当事務所では、障害の影響で事件を起こしてしまったと考えられる事件をこれまで多数取り扱っています。精神科医との勉強会などにも積極的に出席し、障害への理解を深めようと努めています。もし障害をお持ちの方が事件を起こしてしまったなどの問題でお困りの方がいらっしゃいましたら、当事務所までご相談ください。