何人も、自己に不利益な供述を強要されない、と我が国の憲法は定めています。
これをもとに刑事訴訟法198条2項では、取り調べの際には、被疑者に対して本人の意思に反する供述をする必要がないことをあらかじめ伝えておかなければならないと規定されています。
「黙秘権」といわれるものです。
「違うなら違うというべきだ」
「事実なら認めるべきだ」
そう思われる方は多いと思います。
しかし、黙秘権は、私たちの自由を守るために、必要不可欠な権利です。
過去から現在にいたるまで、検察官や警察官は、被疑者に対して厳しい取調べをし、「自白」を迫ってきました。身体拘束され、極限の精神状態におかれると、人は、やっていないことまで認めることがあります。
また、人の記憶はあいまいです。手元に何の資料もない中で、供述することは非常に危険です。
捜査段階では「こうだと思う」と供述したことが、後で「違った」と思い出すということはよくあることです。
違う供述が録画されたり、違い供述を内容とする供述調書が作成されたりすると、結局は、その方の話が信用できないという認定となりかねません。
私たちは、依頼者の方に、黙秘すべきだとアドバイスすることがあります。
それは経験等に基づき、依頼者にとってベストだと考えたうえでのアドバイスです。