刑事裁判の終わりに、被告人にどのような判決がふさわしいかについて、検察官が意見を述べます。弁護人も意見を述べる場合もあります。
有罪と無罪が争われる事件では、検察官は有罪判決を求める意見を、弁護人は無罪判決を求める意見を述べます。事実を認めた上で量刑が争われる事件では、被告人にどのような刑罰がふさわしいかの意見を述べることになります。
検察官が述べる意見は、「求刑」と呼ばれます。
理論上、裁判所は、検察官の「求刑」に拘束されません。裁判所が、検察官の求刑を大幅に下回る刑を下す事例もあります。検察官の求刑通りの刑や、求刑を超えた刑を下す事例もあります。
しかし、実際上多いのは、検察官の求刑の7~8割程度の刑となる事例です。検察官も、過去の事例などを参考にして意見を述べていることから、結果として、適切な量刑がその7割ないし8割程度となる事案が多いのでしょう。
もっとも、検察官は量刑相場に比して、重い求刑をすることもあります。
そのような場合には、弁護人が、なぜ検察官の求刑が重すぎるのか、説得しなければなりません。
軽い刑を求めるための証拠を収集し、立証を行うのはもちろんのこと、弁護側も、単に「軽い刑を求める」というのではなく、「~年の軽い刑がふさわしい」などの結論を得るための具体的な主張を行う必要があります。