刑法では、責任能力がない人の犯した罪を罰することはできないとされています。この責任能力とは、わかりやすくいえば、ものごとの良い・悪いを判断し、それに従って行動する能力をいいます。精神の障害により、ものごとの良い・悪いを判断できない、あるいは、それに従って行動できないという場合には、無罪となります。
責任能力の判断においては、精神の障害があるかどうかが重要な要素になり、その判断には、精神科医の専門的な知見が必要になります(いわゆる「精神鑑定」です)。法学と医学の境界線に位置する、法律家にとってもとても難しい問題です。
先週の土曜日、当事務所の弁護士4人が、精神科医・裁判官・検察官・弁護士の集まる責任能力に関する研究会に参加してきました。
具体的な実例をもとに、精神の障害を専門家がどのように判断したのか、それに対する精神科医の意見、裁判官や検察官、弁護士などの法曹関係者の意見を出し合い、とても密度の濃い議論が交わされました。
当事務所の弁護士も、精神鑑定が行われるような難しい事件を多数扱ってきました。
精神鑑定自体が非常に難しい分野ですが、今後も、研鑽を怠らず、難しい事件でも積極的に担当していきたいと考えています。