実際に人が住んでいる建物への放火は,現住建造物等放火として裁判員裁判で裁判が行われます。未遂であっても同じく裁判員裁判となります。
東京ディフェンダー法律事務所では,こうした裁判員裁判について,様々な弁護活動を行っています。
今日は,当事務所の弁護士が活動した現住建造物等放火未遂の事件について,検察官が求めた求刑の6割以下の判決となった弁護活動をご紹介致します。
事案と検察官の意見
自宅に放火して他の人に消し止められたという現住建造物等放火未遂の罪で,裁判員裁判となった事件でした。
複数の同種前科がある方で,前回の服役で出所した後,約1年半で今回の事件を繰り返すことになったものでした。
検察官は,こうした点や,動機は食事などが保障される刑務所に入ることにあり,身勝手な犯行であるなどとし,懲役6年の刑を求めました。
弁護人の主張
弁護士からは,ご本人が高齢で衰え,自分でお金の管理や健康管理ができなくなったものであることを指摘しました。
こうした点を明らかにするため,ご本人が当時残していたメモ内容を指摘しました。
またご本人を担当していたケースワーカーの方の証人尋問を行い,ご本人の当時の言動や健康状態などについて証言してもらいました。
その結果,判決は,検察官が求めた求刑の6割以下となる懲役3年6か月となりました。