前科・前歴がある 裁判で刑が重くなってしまうか?

そもそも前科・前歴とは

前科,前歴があれば,裁判で刑が重くなってしまうものでしょうか。
前科は,一般に有罪判決を受け刑罰を受けた経験があるかどうかのことを言います。刑務所に服役する実刑判決に限らず,執行猶予判決や罰金刑も前科になります。
前歴は,一般に捜査機関に犯罪を犯したと疑われ捜査対象になったことがあるかどうかのことを言います。逮捕された場合に限らず,逮捕されずに捜査対象となって捜査を受けた場合も前歴となります。

前科・前歴があっても重くなるとは限らない

前科,前歴がある場合,検察官は,前科・前歴があることの記録や過去の裁判判決などを証拠として取調べを求めるのが通常です。
検察官は,前科,前歴があることを,重く処罰する理由として主張するものと言えます。
しかし,ずっと前のことであったり,全く異なる罪の前科,前歴であれば,今回裁判を受けることになった犯罪と関係があるとは言えません。
反省せずに犯罪を繰り返しているとは言えず,重く処罰する理由になりません。

弁護士としては,検察官が前科,前歴があることの証拠の取調べを求めるのに対して,重く処罰する理由にならず関係がないこと,関係がない前科前歴を証明しようとすることは不当であるとの意見が言えないか検討すべきです。
裁判所も,弁護士の意見に十分理由があれば,検察官の前科,前歴に関する証拠自体を採用せず,刑を重くする事情として考慮しないことになります。

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