令状主義とは
刑事手続においては,令状主義というとても大切な原則があります。
これは,捜査機関が逮捕,捜索,押収などの強制的な捜査を行う場合には,事前に裁判所に令状を請求して発布してもらわなければならない,ということを意味します。
逮捕状,捜索差押許可状などです。
これは,日本国憲法にも規定されています。
第三十三条
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第三十五条
何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
裁判所による審査
警察官ら捜査機関は,犯人を逮捕したいという思いから,時にその権力を濫用してしまうことがあります。
警察が犯人だと思っていた人が実は犯人でなかったり,容疑が固まっていないのにどんどん捜索差押え(いわゆるガサ)などをするような事態は避けなければなりません。
そこで,中立公平な立場から,裁判所が本当にそのような強制的な捜査をしてよいかどうかを判断する,という仕組みなのです。
しかし現実的には,警察官が裁判所に対して令状請求をすると,99%近くが認められてしまっているのが現状で,裁判所がチェック機能を十分果たしているのかは疑問もあるところです。