刑事事件における時効
刑事訴訟法では,罪を犯してから一定期間起訴できなと時効になる,という公訴時効の制度が定められています。
犯罪が起きてから長期間が経過すると,処罰の要請が低下することや,証拠がなくなってしまうことなどから定められています。
時効の期間は,犯した罪の重さごとに異なります。
殺人や強盗殺人など人を死亡させた罪で死刑が刑期に定められている場合のみ,時効はありません。
それ以外は,1年から30年まで犯罪の重さごとに決まっています。
たとえば,窃盗や詐欺など懲役10年以下の刑期の場合は,時効は7年。懲役5年以下の刑期の場合は5年(ただし人を死亡させ罪以外の場合です)などといった具合です。
公訴時効の停止
ただし,公訴時効は,停止することがあります。
刑事訴訟法
第253条
時効は、犯罪行為が終った時から進行する。
共犯の場合には、最終の行為が終った時から、すべての共犯に対して時効の期間を起算する。
第254条
時効は、当該事件についてした公訴の提起によってその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。
共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力を有する。この場合において、停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める。
第255条
犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかった場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。
犯人が国外にいること又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかったことの証明に必要な事項は、裁判所の規則でこれを定める。
このように,① 共犯者が起訴されて判決確定までの間,② 国外に逃亡している場合は,その期間時効の進行が停止し,その事由がなくなったのち,また進み始めます。
重大事件になると警察は時効直前に捜査を集中的に行い,容疑者を逮捕・訴追することがあります。
しかし時効直前で起訴する場合などは,弁護側にとってはるか過去の事実の調査,証拠の収集をしなければならず困難を伴います。
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