取調べの状況をカメラで録画・録音することについては,2016年の刑事訴訟法の改正で,裁判員対象事件や独自捜査事件(いわゆる特捜事件)については義務づけられることになりました。
この法律の施行は3年後の2019年なのですが,検察庁や警察庁では既に取調べの録画・録音の試行を既にはじめています。
裁判員対象事件では,検察官の調べはほぼ全過程が録画・録音されています。
警察官の調べについては,2016年度は,逮捕後の全過程を録画録音したのは72.8%です。2015年度が約49%であったことからすば,改正法の施行に向けて準備を進めているものと思われます。
他方で指定暴力団に係る事件や容疑者が拒否したなどを理由に録画しなかったケースも多数あることが分かりました。
しかしながら,特に共犯者の事件などで,他人を巻き込む供述をしてしまうとき,できれば密室で行いたいと思うでしょう。これは,取調官が働きかけることもあれば,働きかけがなくとも,自分が助かりたいという思いから,他人を巻き込んでしまうことがあります。
その過程を可視化しておかなければ,真実の記憶として供述されたたのか,ウソなのか,全く検証できなくなってしまいます。
改正法が施行されたあとも,この例外要件は厳格に運用されなければなりません。