福岡地裁で開かれた裁判員裁判において,免訴の判決が下されました。
免訴とは
殺人の罪で起訴されたが,弁護側は殺意を争っていました。
裁判所は殺意を認めませんでしたが,通常であれば傷害致死罪などが成立します。
ところが,傷害致死罪については,既に時効が成立していたため,免訴の判決となったんのです。
免訴とは,有罪か無罪かの判断を行わず,裁判を打ち切る判決のことです。
刑事訴訟法には,次の様に定められています。
第337条
左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない。
1 確定判決を経たとき。
2 犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。
3 大赦があったとき。
4 時効が完成したとき。
これらが定める内容は,本来その人を刑事裁判にかけることができない場合なのです。
1~3号の事由により免訴となるということはほとんどないと思いますが,4号の時効による免訴はまれに生じます。
時効の成立
時効は罪の重さごとに段階的に定められている(一部重大犯罪は時効が撤廃されています)ため,検察官が起訴した段階で,重い罪では時効が成立してないが,軽い罪だと時効が成立しているということが考えられるからです。
傷害致死罪で起訴したが,死亡との因果関係が認められず,傷害罪であるが時効が成立しているケースなども考えられます。
このような場合,検察官としても軽い罪であれば罪に問えないため,少し無理をして起訴してまうケースもあり,慎重な弁護活動が求められるでしょう。