起訴されて刑事裁判を受けることになった場合,手続はどのように進むのか。
第一審の刑事裁判手続の流れについて,ご説明します。
裁判員裁判ではない通常の事件では,起訴されて1,2か月程度で第1回の公判期日が開かれます。公判期日は平日の日中に行われます。
起訴された事実に争いがない事件では,通常,1時間程度の時間で第1回の裁判が行われて審理が終わり,多くは1,2週間程度後の次回の公判期日で判決が言い渡されます。
この第1回の裁判では,通常,3つの手続が行われます。
1つめは,冒頭手続という手続です。
まず,起訴されて刑事裁判を受けることになった被告人が証言台の前に立ち,裁判官から,氏名,生年月日,本籍地,住所,職業を尋ねられ,起訴状に書かれた人物が期日に出廷しているか確認がされます。人的質問という手続です。
そして,検察官から起訴状が読み上げられ,裁判官から黙秘権があることの説明を受けた後,被告人に対して,起訴状の内容にどこか違っているところがあるか尋ねられます。被告人の後,弁護人に対しても尋ねられます。いわゆる罪状認否という手続です。
2つめに,証拠調べ手続が行われます。
まず,検察官が冒頭陳述を行います。検察官が証拠によって証明しようとする事実を述べる手続です。
検察官が証拠で証明しようとする事件の経緯や犯行状況,事件後の事情等を述べます。
その後,検察官が証拠調べを請求し,弁護人が同意した書証や異議のない証拠物について,証拠として採用され,取調べが行われます。
検察官が請求する証拠調べが終わった後,弁護人の請求する証拠調べが行われます。
被告人の今後の支援や指導監督など,情状について証言する情状証人がいる場合,まず情状証人の証人尋問を行うのが通常です。
その後,被告人質問が行われ,被告人自身が,弁護人,検察官,裁判官の順に質問を受けて,話しをします。
3つめ,証拠調べ手続が終わって,最後に,論告弁論,最終意見陳述が行われます。
検察官が,どのような刑を課すべきかの意見を述べ求刑を行います。
続いて,弁護人もどのような刑が相応しいかの意見を述べます。
そして,被告人にも,裁判を終わるにあたって最後に発言の機会が与えられます。
起訴された事実に争いがある事件や,検察官が請求する書証に弁護人が同意せず,証人尋問が行われる場合には,第1回の公判期日で証拠調べが終了せず,その後も公判期日が開かれて証人尋問などの証拠調べが行われます。
また,裁判員裁判の事件や,裁判員裁判ではない事件でも公判前整理手続という手続に付された事件では,第1回公判期日の前に,裁判官,弁護人,検察官との間で,争点と証拠を整理するための手続が進められます。第1回の公判期日が始まるまで数か月,事案によってはそれ以上かかる場合があります。