窃盗を繰り返すことをやめられないという病気があります。
医療的アプローチ
窃盗症、クレプトマニア、といった病名がつくことがあります。
こうした病気の影響で繰り返してしまった窃盗が刑事事件になった場合、刑事事件になって処罰を受けることが、本人の再犯防止に役立つとは思えないことが多々あります。このような窃盗症(これは薬物依存と同じ、依存症の一種であるという見方もできます)に対しては、専門的な回復・再犯防止プログラムが研究されており、医療的なアプローチによる回復・再犯防止が非常に有用です。
弁護活動
このようなことを裁判でも裁判官に伝える必要があります。依頼人が窃盗症であることを立証し、その影響で窃盗を犯してしまったこと、回復に向けた努力をしていることを伝えていく必要があります。
ところが、裁判では、そもそも本人が窃盗症であるかどうかを、検察官が争ってくる場合や、裁判官が疑問をもつ場合があります。とくに、精神医学の診断基準書などを機械的に当てはめて窃盗症の診断に誤りがあるという主張を検察官が行う場合は要注意で、これにきちんと反論をしていかなければなりません。
そのためには、窃盗症に関する正しい知識と、精神医学の診断基準書などの正しい理解が必要になります。きちんと本人の問題点を分析して裁判で指摘するには、こうした精神医学の分野の知識が、弁護人に必要になってくるのです。