刑事訴訟法が改正され,本日より被疑者に対する国選弁護の対象となる事件が拡大しました。
全事件が国選弁護の対象事件に
これまでは,対象となる事件が限定されていました。法律で定められた刑が死刑,無期,長期3年を越える懲役刑,禁固刑と一定以上の重さの罪でなければ,被疑者に対する国選弁護人は選任されませんでした。
このため,住居侵入,暴行,死体遺棄・損壊,脅迫,強要,名誉毀損,業務妨害,器物損壊,公然わいせつといった罪の事件や,痴漢行為で迷惑防止条例違反とされる事件などについては,起訴されて刑事裁判を受けることになるまでは,国選弁護人は選任されませんでした。
本日からは,こうした事件の制限はなくなり全ての事件が被疑者に対する国選弁護の対象となりました。
国選弁護制度が活用できる時期
もっとも,国選弁護人がつく時期については,「勾留状が発せられている場合」(刑事訴訟法37条の2第1項)とされています。
捜査段階の刑事手続は,まず,逮捕という2,3日間の身体拘束の後,勾留という10日間から最大20日間の身体拘束がされることになっています。
このため,勾留がなされる前の逮捕されて2,3日の間は,国選の弁護士はつきません。
また,そもそも逮捕されていない事件についても,国選の弁護士はつきません。
逮捕直後の弁護活動の重要性
しかし,被疑者に対する取調べは,当然ながらこうした国選弁護人がつくのを待ってから行われるものではありません。
国選の弁護士がつく前に,違法・不当な取調べによって不利な供述調書が作成されてしまう危険はなお残っています。
逮捕直後こそ,弁護士がついて適切な助言を受ける必要性が高いと言えます。
このため,現在の被疑者国選弁護制度はなお不十分で,逮捕当初から,さらには逮捕前の段階から国選弁護人が選任されるよう,さらなる法改正が望まれます。
被疑者として取調べを受けることになった方,逮捕された方のご家族の方は,当事務所までご相談ください。