刑事裁判における証拠裁判主義と証拠能力

日本の刑事裁判は,刑事訴訟法で「事実の認定は,証拠による。」(刑事訴訟法317条)と規定され,証拠裁判主義が採用されています。
また,不確かなことで人を間違って有罪として処罰することは許されないことです。

裁判で使われる「証拠」とは

刑事裁判で有罪と認定する「証拠」はどんなものでも証拠になるのではなく,証拠能力がある証拠でなければならないとされています。

証拠能力が認められるためには,①自然的関連性,②法律的関連性があり,③証拠禁止にあたらない必要があります。
証明しようとする事実に対して必要最小限度の証明力がなければ,①自然的関連性は否定されます。
また,証明力の評価を誤らせる事情があれば,②法律的関連性が否定されます。
この点,伝聞供述は刑事訴訟法において原則として証拠能力が認められないとされています。
そして,違法に収集された証拠などは,③証拠禁止にあたるとして証拠能力が否定される場合があります。

「証拠」の選別のために求められる弁護活動

しかし,検察官が証拠調べを請求する書証等の証拠に対して,漫然と同意をしたり異議を述べなければ,証拠として採用されることになります。
弁護人の活動としては,検察官が証拠調べ請求する証拠について,関連性があるか,証明力の評価を誤らせるような証拠ではないか等,十分に検討をし適切に意見を述べ,証拠能力のない証拠が証拠として採用されないようすることが重要です。

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