法律上、「再度の執行猶予」というシステムがあります。
「再度の執行猶予」の適用対象
これは、執行猶予判決を以前に受けていたけれども、もう一度執行猶予の刑が言い渡されること・・・なのですが、法律上の要件はもっと細かく決まっています。
まず、適用の対象になるのは、前に言い渡された執行猶予の期間中に刑の言い渡しを受ける場合です。たとえば、前に執行猶予判決を受けていても、その執行猶予期間が切れている場合は、法律上の「再度の執行猶予」とは扱われません(この場合、通常の執行猶予をつけるかどうかが検討されることになります)。
「再度の執行猶予」のための要件
「再度の執行猶予」がなされるためには、言い渡される刑が一年以下の懲役又は禁錮の刑でなければなりません。これは、それなりに高いハードルです。なぜなら、懲役1年以下の懲役刑が選択される事件というのは、相当に軽い犯罪に限られるからです。たとえば、一般に再犯率が高いとされる覚せい剤の自己使用事件などは、多くは初犯の場合でも懲役1年6か月程度の懲役刑に執行猶予の付された判決が言い渡されるため、執行猶予中の再犯の事件の刑が懲役1年を下回って再度の執行猶予が付されることは、通常考え難い事件の類型です。
そして、「再度の執行猶予」には、「情状に特に酌量すべきものがあるとき」という要件があります。事件が悪質でなく、かつ、被告人自身の再犯防止に向けた努力が顕著であるなどの事情があるときなどが、これにあたるものと考えられます。
「再度の執行猶予」を得ることは、簡単なことではありません。事件の性質による限界もあります。執行猶予中に再犯を繰り返してしまった人皆が再度の執行猶予を狙えるわけではもちろんありません。
「再度の執行猶予」を獲得できる見込み等については、まず弁護士に相談することが推奨されます。