当事務所の久保有希子弁護士が協力させていただいている『龍の耳を君に デフ・ヴォイス新章』を紹介させていただきます。
著者は丸山正樹さんで、東京創元社から出版されている書籍です。
「デフ・ヴォイス」という小説の第2弾であり、いずれも手話通訳士である主人公が、聴覚障害を有する被疑者の方等と接する中で事件の核心に迫るというサスペンス小説です。
刑事弁護の中でも、依頼者の方と通訳を通じて会話をすることは少なくありません。
手話通訳だけでなく、様々な外国語の通訳が必要となることがあります。
ただ、会話をする上で人を介さなければならないことにより、裁判では誤解が生じる可能性もあります。
誤訳の可能性はもちろん、人柄が伝わらない可能性など、難しい問題が多々あります。
弁護士は、そのような難しさを認識し、依頼者の利益が損なわれないよう、慎重に対応することが必要です。
時には他の通訳の方の意見を聞いたりすることもありますし、自分なりに文化的な背景を調べることもあります。
『デフ・ヴォイス』のシリーズは、特に聴覚障害の方が黙秘権を理解することの難しさ等が著者の緻密な調査のもとでリアルに描かれていますし、ミステリーとして非常におもしろい良著です。
ミステリーに興味のある方はぜひご一読ください。