刑事裁判において犯罪事実が認められるかどうかは,証拠があるかどうか,その証拠が信用できるかどうかで決まります。
そして,刑事裁判において何でも証拠として取調べられるものではなく,証拠能力が必要とされます。
伝聞証拠
刑事裁判において伝聞証拠は証拠能力が認められないのが原則です。
この点,書証は,作成した人,その内容を供述した人に対して,証人尋問を行わなければ内容が正しいかは確認できません。
このため書証は,伝聞証拠の例外として証拠能力が認められる場合や,相手方が取調べに同意する場合に証拠として取り調べられます。
必要性・関連性
また,伝聞証拠の例外に当たる書証や証拠物などであっても,証拠として取り調べられる必要性や関連性がない場合には,証拠とされるべきではありません。
検察官が請求する証拠について,書証に対して安易に取調べに同意すべきではなく,伝聞例外にあたる書証や証拠物についても,必要性や関連性があると言えるか,さらに検討し証拠に対して意見すべきです。
弁護人の証拠請求・不同意対応
逆に,刑事裁判においては,弁護人の弁護士が請求する証拠についても,証拠能力が求められます。
弁護人が請求する書証に対して,検察官が同意しなければ,書証を作成した人,その内容を供述した人に,証人として裁判で証言してもらう必要があります。
あるいは,伝聞証拠の例外にあたる書証であるとして裁判所に証拠能力を認めさせる必要があります。
弁護人として証拠調べ請求をするに当たっては,検察官が不同意とした場合の対応や伝聞証拠の例外として証拠能力が認められるも,意識して準備をする必要があると言えます。