結婚詐欺という言葉は度々聞かれます。
ただし,刑法には結婚詐欺罪という犯罪はありません。
刑法で定めている詐欺罪には,次の様に定められています。
刑法246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する
従って,騙して財産をとらなければ詐欺罪にはなりません。
結婚する気もないのに,結婚するなどと嘘をついて交際をしたというだけでは,犯罪になりません(民事上の不法行為責任は別です)。
しかし,結婚すると嘘をつき金銭をだまし取った場合には詐欺が成立することもあります。
ただし詐欺には,金銭をだまし取る際に詐欺の故意が必要です。
なので,交際しているときは真剣に交際しておりお金を借りた(あるいは何かを購入してもらった)という財産の交付があったとして,その後別れたとしても,詐欺になるわけではありません。
また,真剣な交際であったか(最初からだまし取るつもりであったか)という内心については,事後的に証拠によって明らかにすることが極めて困難んです。
同時に複数と付き合い何人にも同じ行為をしていたなどの明らかな事情がない限り,実際の立件は難しいでしょう。
財物交付の前後の交際関係,財物の価格,交付の必要性などが考慮されるでしょう。