保釈保証金の「最低金額」

釈放されるために保釈保証金が必要

日本では,裁判所に保釈請求をし,保釈が許可されても,それだけでは釈放されません。裁判所が,保釈を許可する際に定める金額の保釈保証金を,裁判所に納付してはじめて釈放されます。

保釈保証金は,保釈を認められた人が逃亡したり,証拠隠滅をしたり,あるいは保釈の際に定められた条件に反した場合に没取されます。つまり,保釈保証金は,逃亡や罪証隠滅を防止するための担保としての役割を負っています。

保釈保証金は必要以上に高額となっている

逆に言えば,保釈保証金は,その被告人の経済状態に照らして,その被告人にとって逃亡や罪証隠滅を防止するに足りる金額であればよいはずです。刑事訴訟法第93条第2項も「保証金額は,犯罪の性質及び情状,証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して,被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない」と定めるのみで,具体的な金額については何ら定めていません。しかし実務では,どんなに軽微な事案で,かつ罪証隠滅や逃亡の危険性が乏しい事案であっても,保釈保証金の金額が150万円を下回ることはほとんどありません。この150万円という金額の合理的な根拠はまったく明らかにされていませんが,実務上「最低額は150万円」という不文のルールが確立されているような状態です。そして,重大な事案では,以下に保釈の必要性が高くとも,数百万を超える保釈保証金が設定され,中には500万円を超えるケースもあります。

このような実務の下では,経済的に余裕のある被告人にしか保釈が認められないことになってしまいます。現に,経済的理由から保釈を諦め,長い期間を拘置所で過ごしながら裁判を戦わざるを得ない被告人も多数います。

弁護人は,裁判官との粘り強い交渉により,前例にとらわれず,事案に即した合理的な額の保釈保証金額が設定されるよう,努力を続けなければなりません。

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