刑事裁判では,物を証人に示しながら尋問することができる場合があります。
たとえば,地図を示しながら証人に書き込みをしてもらったり,写真を示しながら証人に説明をしてもらったりするのが典型的です。
防犯カメラを見せながら証言?
では,防犯カメラのように動画メディアを証人に見てもらいながら証言を求めることはできるでしょうか。
答えは,できます。
パソコンなどで再生しているものを直接見てもらってもよいのですが,裁判員裁判などが行われる大きな法廷には,「法廷ITシステム」と呼ばれる設備があります。これは,パソコンをモニターとつないで,プレゼンテーションソフトや証拠資料などをモニターで見ることができる装置です。モニターは,各当事者席と裁判官席,そして証人席に設けられています。
法廷ITシステム
法廷ITシステムに接続した状態で手元のパソコンなどから動画を流すと,証人の席でも手元のモニターに映ります。動画のある部分を制止し,モニター上でタッチペンを使いながら書き込むこともできます。画面に書き込んだものは,そのままの画像として印刷することもできます。
こうした技術を駆使して,わかりやすく,効果的な証人尋問を行うのも,法廷弁護技術のひとつです。