起訴猶予がない
20歳未満の人が犯罪を行い,またはその嫌疑をかけられた場合は,その事件は少年事件として,成人の刑事事件とは別の手続で扱われます。
少年事件と成人の刑事事件の手続には様々な違いがありますが,実務上注意すべき特に大きな違いは以下の3点です。
まず,いわゆる「起訴猶予」にあたる処分がないということです。少年の刑事事件の場合も検察官が捜査をしますが,犯罪の嫌疑があると思料するときは,家庭裁判所に送致しなければなりません。つまり成人の刑事事件では,被害者との示談成立等の事情を考慮し,検察段階で事件が不起訴で終結することがありますが,少年事件の場合はそのような考慮はされないということです。
審判での活動と期間制限
2点目に,家庭裁判所での審判は裁判官が中心となって行う(職権主義)ということです。そして,成人の刑事事件と異なり,起訴状一本主義がないため,すべての証拠が家庭裁判所に送られ,裁判官はそれに目を通します。審判が行われる前に,心証は形成されていきます。ですから,付添人(弁護人に相当する立場の弁護士)は審判前に裁判官に意見書を提出し,または面会するなどして,一方的な心証が形成されることを食い止めなければなりません。審判の場での一発勝負ではなく,継続的,連続的な説得活動が期待されているということです。
3点目に,厳しい法律上の期間制限があるということです。在宅の事件の場合は別ですが,観護措置が取られた場合(主に少年鑑別所に送致された場合)には,収容期間は原則2週間で,更新は1回までとされています。つまり収容期間は原則として1か月であり,その間に審判が行われ,結論が下されます(一部の事件につき証人尋問を行うことを決定したものなどについては,更に最大1か月の亢進が可能とされています)。ですから付添人が準備にかけることができる時間は短く,集中して審判の準備を行う必要があります。
少年事件で適切な弁護活動を行うには,特に事実を争う事件でベストな弁護活動を行うためには,成人の刑事事件についてのノウハウだけでなく,上記のような少年事件特有の感覚を身に着けていることも重要となります。
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