119番通報をして,救急隊が駆けつけたときに既に心肺停止している場合に心臓マッサージによる心肺蘇生が行われます。
この心臓マッサージによって肋骨が骨折することは珍しくありません。
救命措置が刑事事件に
その後救命措置をしても助からずなくなり,司法解剖の結果肋骨骨折していることが判明するのですが,
これが傷害致死や殺人事件などに発展すると,時に難しい問題になることがあります。
肋骨骨折が,容疑者の暴力によるものなのか,その後の医療措置の中で生じたものなのかを判別することが容易ではないからです。
肋骨の折れている部位(何本目か,前側か表側か),折れている本数,具体的な心臓マッサージの方法などにより検証せざるを得ませんが,簡単ではありません。
心臓マッサージ以外にも搬送中あるいは手術によって体に痕跡が残ったのか,容疑者との事件の中で生じたのかの判断が難しいことがあります。
留意点
気をつけなければならないのは,解剖をする医師は,治療をする医師とは異なるので,必ずしも解剖医の所見が正しいとは限らないことです。
人がなくなった事件は,重大な事件ですから,弁護人としても注意深く検討しなければなりません。