刑事裁判において,裁判を受けている被告人自身,法廷で弁護人の質問に答える形で事件の内容等を話す機会があります。
被告人質問という手続で,答えた内容が裁判の証拠となるものです。
検察官が起訴した犯罪の成立自体には争いがないからといって,被告人質問で話す内容が事件の反省や今後の生活といった事柄に限られるものではありません。
被告人質問の役割
検察官が起訴した犯罪の成立自体には争いがないとしても,具体的な犯行内容等については,検察官が主張,立証する内容とは異なるのが通常といえます。
そして,刑の重さを決めるのは,行われた犯罪行為の責任の大きさを判断して決めるのが基本です。
このため,犯行に至った経緯や犯行内容,犯行に関わった立場や程度,犯行後の事情等の犯罪行為の責任の大きさに関わる事情が重要です。
被告人質問で被告人が反省していることや,今後の生活状況などを明らかにするだけでは不十分です。
弁護人において事案を十分に把握し,被告人自身の行った犯罪行為の責任の重さが明らかになるように,被告人自身が被告人質問で話しをするよう活動することが求められます。