覚せい剤などの違法薬物の使用は依存性が高く,違反率が高い犯罪です。執行猶予中に覚せい剤などの使用を繰り返してしまい刑事裁判を受けることになった場合,実刑判決を覚悟しなければならないといえます。
もっとも,違法薬物の使用について,前科があったり執行猶予中の再犯であったりする場合も,刑の一部について執行猶予が付される可能性があります。
本日は,当事務所の弁護士が担当した事件で,刑の一部執行猶予が認められた弁護活動をご紹介します。
事案は,覚せい剤の使用などで執行猶予判決を受け,その猶予期間中に再び覚せい剤を使用してしまい,刑事裁判を受けることになったというものでした。
ご本人は,前回の裁判以降,当初は違法薬物の使用がやめられていたところ,人間関係などの問題があって再び覚せい剤を使用してしまい,逮捕されることになってしまいました。
自分の意思だけでは辞めるのは難しいという自覚と反省から,保釈が認められた後は,医療機関に受診をし,違法薬物の依存症を治療するプログラムを受けるようしました。
また,ご本人の家族も一緒に受診をし,違法薬物の依存症や家族のサポートの仕方を学び,今後も相談していくようすることにしました。
そして,ご本人が受けているプログラムが依存症治療に効果があるもので,ご本人も効果を実感し,今後も受け続けるものであることを裁判で明らかにしました。
その結果,検察官は懲役3年の刑を求めたのに対して,判決は懲役2年で,そのうちの一部である6か月の懲役刑を2年間保護観察付きで猶予するということになりました。