刑事手続の中で,弁護士は強制的に証拠を収集することはできません。
証拠の収集
警察や検察官は強制力を持って,人を逮捕して取調べたり,証拠物を押収することができますが,弁護士は直接強制力を持って事実を調査したり,証拠を収集することができません。
この力の差は圧倒的で,時に無実の証拠が埋もれてしまうことすらあります。
弁護側も,裁判所を通じた証拠収集手続(公務所等照会,提出命令,差押え等々)という法律上の手段はありますが,現実的には裁判所の腰は重く認められないことも少なくありません。
そのような中で1つの有効な手段として,弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会という方法があります。
弁護士会照会とは
第二十三条の二
弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
この弁護士会照会は,弁護士が担当事件について調査したい事柄があるときに,弁護士会に対して照会先に照会するよう求めるものです。そして,弁護士会から照会先に照会書が送らます。
この弁護士会照会は,公益上の必要性から法律に規定されているもので,原則として照会を受けた場合には回答する義務があります。
この弁護士会照会には若干の手数料がかかります(単位会によりますが1万円以内)。弁護士会によっては,国選の場合減額になることもあります。
刑事弁護活動をする中で,必要があれば弁護士会照会を検討してみましょう。
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