刑事裁判では,不確かな証拠で人を裁くことは許されません。
伝聞法則
刑事訴訟法には,以下のような定めを置いています。
第320条
第321条乃至第328条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。
これは伝聞法則を定めたものです。法廷で目撃者などの証人が直接体験した事実を語る証人尋問という手続がありますが,例えば検察官が犯行の目撃者を証人として請求した場合,弁護人が反対の立場から,本当に見たのかについて反対尋問をすることが出来ます。
伝聞証拠の問題点
人は様々な利害関係からウソをついたり,あるいは見間違い,記憶違いが起きてしまうことは避けられません。そこで反対の立場の当事者から,その証言が正しいかどうかを反対尋問によりチェックする必要があるのです。
ところが,Aという証人が,「Bさんが被告人の犯行を目撃した」と言っていた,と証言した場合,犯行を見たと言っているのはBさんですから,Bさんが本当に見たのかどうかはBさんに反対尋問をしなければなりません。
この他人の供述のことを伝聞証言(又聞き)といいます。
このような場合原則として,AさんはBさんの証言を尋問で語ることは許されないのです。
しかし,このような又聞きの証言も,弁護人が適切に異議を述べなければ,検察官が質問したり,勝手に答えたりしてしまうこともあります。
証人尋問のおける異議の技術も,弁護人にとっては大事な技術なのです。