被疑者ノートを利用しよう

被疑者ノートとは

  被疑者ノートとは,日本弁護士連合会(日弁連)が作成した,逮捕された人向けの冊子です。  
  取調べを受ける都度,取調への日時や内容等を記録化するためのものです。
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/legal_aid/on-duty_lawyer/data/higishanote_06.pdf

代表的な言語については外国語版もあります。
  https://www.nichibenren.or.jp/activity/criminal/recordings/detail/suspect_note.html

 逮捕された人に弁護人が差入れをして,被疑者本人に留置場内で記載してもらうものです。

取調べの記録化の必要性

逮捕されると起訴されるまでの最大23日間警察官,検察官からの取調べを受けることになります。 
  重大な事件になれば連日朝から夜まで10時間以上取調べが続くことも珍しくありません。  
  警察官,検察官は一定の証拠をもとに被疑者が犯人であると推定(もしくは断定して)逮捕しているわけですから,なんとか罪を認めさせようと,時に威圧的,脅迫的,あるいは利益誘導的な取調べをします。  
  突然逮捕され,環境が一変する被疑者は正常な心理状態ではなく,そのような違法不当な取調べに冷静に,毅然と立ち向かうことは容易ではありません。
  現在,取調べを録画録音するという取調べの可視化という制度もありますが,対象事件が特捜事件や裁判員対象事件などかなり限定的であり,一般の刑事事件では録画されないことが多いのが実情です。  
  従って,取調べが適正に行われることを確保するために,取調べの内容を記録化しておくことはとても重要です。
  過去には不当な取調べの結果虚偽の自白調書が作成されたものの,被疑者ノートに取調官の言動を克明に記載していために調書が信用されなかったというケースもあります。
  仮に黙秘するという選択肢をした場合でも,供述するよう圧力をかけてくることがありますので,取調べの記録化は必要です。  

  
弁護人との情報交換

  また,起訴する前の捜査段階では弁護人は警察官が収集した証拠を見ることが出来ません。
  取調べで作成した供述調書も見ることはできません。
  そのため,取調べで警察官,検察官がどのようなことを聞いてきたか,どのように被疑者が供述し,あるいは調書を作成したか,ということを適切に弁護人に情報提供することは,弁護方針を立てて不起訴等の処分,あるいは弁護人による情報収集のために必要なことです。

被疑者ノートの実際の利用方法

  被疑者ノートは取調べの都度記載することが望ましいです。 
  1回の調べが終わる度に記載して下さい。
  被疑者ノートは,基本的に取調官の言動を記載するものです,威圧的な言動や事件に関してしてきた気になる質問も記載して下さい。
  そして,記載した被疑者ノートは,弁護人の接見に必ず持参し弁護人に見せて下さい。
  問題のある取調べがあれば弁護人が捜査機関に抗議をしますが,そのための参考になります。

 (参考)被疑者ノートの冒頭

  「あなたは今,逮捕され,取調べを受けているのかもしれません。あるいは,逮捕されずに,任意の取調べを受けているのかもしれません。逮捕されていても,逮捕されていなくても,厳しい取調べを受けていると, 供述調書の内容に納得がいかなくても,「今
,取調官の言うとおりにサインをしたら楽になるかもしれない」と思うことがあります。しかし,今が楽だからといって,納得のいかないまま供述調書にサインをしてしまうと,後で困ったことになるかもしれません。後で後悔することのないよう,取調べを受ける前に必ず,この「被疑者ノート」に書かれているアドバイスをよく読んでください。」

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