保護責任者遺棄致死罪とは,保護義務がある人が被害者を放置するなどして死亡させてしまった場合に罪に問われます。
どこか山奥などに遺棄する場合だけでなく,不保護(必要な手当をしないこと)も対象となります。
保護責任者遺棄致死罪は,裁判員裁判で審理されることになります。
保護責任者として責任を問われるには保護義務があることが前提となります。法律上は,「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者」(刑法218条)と規定されています。介護義務がある親族や,自分の子どもに対しては保護義務があります。
育児放棄などで必要な食事をさせなかったり,虐待して怪我をさせたまま病院に連れて行かなかったりした場合などが典型的です。
また同時に薬物や危険ドラッグを使用し,容体が悪化したまま放置したケースなどでも保護責任者遺棄致死罪に問われています。
保護責任者遺棄致死罪に問われたときは,
① 容体を悪化させるような意図的な行為をそもそもしたのか
② 被害者の容体の悪化を認識していたか
③ (親族などでない場合)保護義務があるといえるか
④ 仮に必要な手を尽くしたとして救命可能性があったか
など,多岐にわたる争点があり得ます。
量刑も,行為態様や被害者との関係などによってかなり長期の実刑になるケースも少なくありません。
保護責任者遺棄致死罪に問われた場合は,刑事事件,しかも裁判員裁判に精通した弁護士を依頼することをお勧めします。