保釈金の没取

保釈とは,起訴された後に,裁判所に一定金額の保釈保証金(保釈金)を預けて,拘束から解放される制度です。
保釈は,裁判所に保釈請求をし,裁判所が事案の性質,証拠隠滅や逃亡の可能性などを考慮して決定します。

保釈が決定するときには,保釈保証金が定められ,お金を裁判所に納めることで外に出ることができます。 

保釈の取り消し・没収

この保釈保証金は、保釈後の裁判に出頭し,手続が終了すれば返還されますが,逃亡したり,保釈条件に違反したりすると,全部ないし一部が没取され,返還されません。

刑事訴訟法は以下のように定めています。
  
刑事訴訟法第96条
 1 裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
  ① 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
  ② 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  ③ 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  ④ 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
  ⑤ 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
 2 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
 3 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。

没収される場合

没収される場合は,逃亡し公判期日に出頭しない,証人に働きかけるなどして証拠隠滅行為をした,ような場合です。保釈されるときには個別に保釈条件が付されることがあります(例えば,関係者と直接接触しない,など)。その条件に違反する場合も対象になります。

また,96条3項により実刑判決が確定したのあと出頭しないときも没取されることがあります。

 
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