痴漢事件・詐欺事件での釈放・保釈 最高裁判例

逮捕・勾留され身体を拘束された依頼人を早期に解放させることは,私たち弁護士の大きな役割のひとつです。
私たちは,各種申立や保釈請求を駆使して,依頼人の解放を目指します。
しかし,私たちの活動により,釈放が認められた場合でも,検察官が不服を申し立てることができる場合があります。
たとえば保釈が認められたとき,検察官の不服申立が認められてしまうと,あとは私たちが最高裁判所に不服を申し立てるしかなくなってしまいます。
そして,この最高裁判所に対する不服申立は,認められない場合がほとんどでした。

しかし,先日,平成26年11月17日と18日に,最高裁判所が画期的な決定を出しました。
これらの決定は,いずれも,上に書いたような検察官の不服申立が認められた裁判を取り消す決定でした。
これらの事件は,それぞれいわゆる痴漢事件と,詐欺事件でした。
これらの事件の被疑者・被告人は,最高裁の決定によって,解放されたことになります。

私たちが事件を担当すると,実に多くの事件で,不必要な身体拘束がされていることを実感します。
身体拘束を行うためには,「罪証隠滅」や「逃亡」をすると疑われるかなりの可能性がなければならないはずなのですが,とても抽象的な理由で,こういった可能性が肯定されてしまうのです。
最高裁判所の決定は,この可能性について,具体的な事情を要求しているように読める決定でした。
私たちはこれまで,裁判所による不必要な身体拘束を批判し,徹底的に戦ってきました。
最高裁判所自体も,こういった実務を変えていかなければならないと考えているのではないかと期待できる決定でした。

むろん,専門的に見れば,最高裁判所の決定の読み方はそう簡単ではありません。弁護人にとって不利に働く可能性も意識しなければならない決定でした。
しかし,いずれにしても,刑事弁護士であれば,こういった最新の判例を常にチェックし,これを武器にできるときは最大限に使い,不利益になりそうなときはこれをカバーする手立てを講じながら,早期の依頼人の身体拘束解放に向けて戦わなければなりません。

 
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