法医学って何?
刑事裁判では,死因が問題となることが少なくありません。
分かりやすい例をあげれば,自殺か他殺かなどです。
首つり遺体が発見されたときでも自殺の可能性もあれば,他殺後に自殺を偽装することもあります。
それ以外でも,暴行により傷害結果を追ってそれが死因となったのか,それとも,もともと持っていた病気により死亡したのか,という場合もあるでしょう。
このように死因を明らかにすることは,真実を発見し,適正な刑罰を科すためにとても重要なことです。
この死因を究明する仕事を法医学といいます。
法医学といっても,担当するのは通常の医学部を卒業し国家試験に合格した医師です。
医学部の中には法医学教室と呼ばれるセクションがあり,そこで代々養成されているというのが実情のようです。
東京には監察医務院があり,ここでも司法解剖が行われています。
法医学と刑事裁判
法医学にも長い歴史がありますが,その分野の性質上,実験して確かめるということができません。また科学技術の発展により知見も進化しています。
そのため,刑事裁判では,法医学を巡っての誤判もあとを断ちません。
刑事弁護人はもちろん,裁判官も検察官も,無論医師ではなく法医学に関する知識は素人です。
従って,ある医師が1つの見解を述べた時に,その問題点を見抜くことが簡単ではないです。
死因が争われる事件は,刑事裁判の中でも重大事件が多く,誤った判断がもたらす影響も大きくなります。
死因や法医学者の見解に疑問がある場合には,きちんと防御を尽くす必要があります。